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社内不正「正すはいっときの苦、正さずは一生の恥」

江上剛・作家

Q 不正を見つけてしまったらどうしたらいいでしょう?

A 見て見ぬふりをしたら一生自分を恥じることになります

 不正を見つけてしまったらどうするか? こんな質問の答えは、告発すること、これに決まっているじゃないか、と思っているだろう。しかし世の中、そう簡単じゃない。

 世の中、不正を告発した者に対して英雄だと尊敬してくれるのは、ごく一部だけ。あるいはその事件が騒がれているときだけだ。その後は、お礼参りという名の報復を受けることが多い。ヤクザがらみじゃなくてもだ。

 以前、取引先の大手食品メーカーの偽装表示の不正を暴露した倉庫業者がいた。勇気ある内部告発者として世間の注目を浴びたが、多くの取引先から取引キャンセルをくらい、倒産してしまった。きっと不義理な倉庫業者だとでも思われたのだろう。

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作家

1954年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。77年旧第一勧銀(現みずほ銀行)に入行。97年、総会屋利益供与事件に遭遇し、広報部次長として混乱収拾に尽力。在職中の2002年「非情銀行」で作家デビュー。03年にみずほ銀行を退行。近著に「働き方という病」など。テレビコメンテーターとしても活躍している。