東芝問題リポート

巨額損失東芝を「要注意」に格下げした主力行の計算

編集部
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会見に臨む東芝の綱川智社長(右)と成毛康雄副社長=2017年1月27日、根岸基弘撮影
会見に臨む東芝の綱川智社長(右)と成毛康雄副社長=2017年1月27日、根岸基弘撮影

 東芝の綱川智社長らが記者会見を開いた日の翌日、1月28日は土曜日だった。新聞の朝刊はどこも1面で「東芝が原子力事業を縮小する」との前日の会見の中身を報じていた。そして日経新聞は朝刊15面で、社長会見の関連記事として小さな記事を掲載した。それが、東芝に融資している金融機関に大きな波紋を広げている。

 「『要注意先』に下げ みずほ銀」という、2段見出しの記事だ。行数は39行。東芝の主取引銀行の一つであるみずほ銀行が、東芝の債務者区分を「正常先」から1段階引き下げ、「要注意先」にした、という内容だった。「債務者区分」「正常先」「要注意先」といった言葉は一般にはなじみが薄い。だが、銀行にとっては極めて大きな意味を持つ。もちろん、融資先企業も大きな影響を受ける。どういうことか、詳しく説明しよう。

 銀行は融資先企業の財務状況や資金繰り、収益力を常にマークしている。収益力が落ち、財務状況が悪くなって融資が返済されなくなれば、損失になってしまうからだ。融資の焦げ付きを避けるため、銀行は、すべての融資先を六つに分類して管理している。自分でやるから「自己査定」といい、この分類を「債務者区分」と名付けている。

 業績が良く、財務状態も心配がない企業は第1分類であり、「正常先」と呼ぶ。これ以外は「正常でない先」、つまり「問題のある企業」ということになる。第2分類は「要注意先」と呼ぶ。これは、融資の回収について通常の度合いを超える危険がある企業である。この第2分類の中で、とくにリスクの高い融資先企業を「要管理先」といい、「要注意先」のなかでも別枠で取り扱っている。

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編集部

長く経済分野を取材してきた川口雅浩・毎日新聞経済部前編集委員を編集長に、ベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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