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父親が育児するなら残業は「EU並み月32時間」に!

藤田結子・明治大商学部教授
仲良くパズル遊び=東京都内で、関口純撮影
仲良くパズル遊び=東京都内で、関口純撮影

 働き方改革を巡り、残業時間の上限を年間で月平均60時間(年間12カ月で計720時間)にして、繁忙期は最大で月100時間まで認める方向で政府が最終調整に入ったという報道がありました。長時間労働の見直しは働き方改革の目玉の一つとされています。

 残業時間の上限については、経済成長や企業の利益、労働者の健康に関わる数字を検討しながら議論されています。しかし、育児や介護との関係については、「両立できることが重要」と言及される程度です。

 しかし、母親たちから見ると、残業時間は父親の育児時間を奪う「敵」です。「育児に必要な生活時間」という観点をもっと取り入れてほしいものです。

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明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。