東芝解体の危機(5)
東芝の「債務者区分」を、主取引3行の一角であるみずほ銀行が「正常先」から「要注意先」に1段階引き下げた──。日経新聞の1月28日朝刊の小さな記事が、金融界に大きな波紋を広げている。
銀行の「債務者区分」は、融資先企業をランク付けして注意するだけではない。「貸し倒れ引当金」を計上することと密接に結びついている。貸し倒れ引当金は、銀行が融資の焦げ付きに備える予防措置だ。融資した企業の業績が回復すれば、引当金は戻る。ただし、引当金を積んでいる間は、損失と同様の効果を持つ。
みずほ銀行や三井住友銀行といった主取引行は、東芝に対して1000億円規模の融資をしている。担保を確保している部分も多少あるかもしれないが、無担保分が相当あるはずだ。みずほ銀行が東芝を「要注意先」と認定すると、無担保の融資の一部を貸し倒れ引当金、すなわち損失として計上することになる。
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長く経済分野を取材してきた川口雅浩・毎日新聞経済部前編集委員を編集長に、ベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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