
内閣府が経済財政諮問会議に恒例の「中長期の経済財政に関する試算」を提出したのは1月25日だった。この内容を巡って、金融関係者の間で議論が沸き起こっている。場合によっては、今後の金融政策運営にも影を落としそうな内容だからだ。
内閣府がまとめた「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)は、かなり以前から毎年、経済財政諮問会議に提出されている。今年のポイントについて、一部のメディアも報じているが、それは政府が掲げている「2020年度における基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化」という政策目標が困難になったという点である。
試算によると、20年度のプライマリーバランスは黒字化どころか、8.3兆円の赤字になるとしている。財政健全化という政策目標は過去の話になってしまった印象である。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。