
日本老年学会は1月、「高齢者」の定義を、従来の65歳以上から75歳以上に変更することを提言した。これは、日本人の寿命が延び、60代半ばを過ぎても十分働ける人が多くなっていることを考慮したものだ。また同学会は、65~74歳の世代を「准高齢期」、90歳以上を「超高齢期」と区分することを提言している。
この提言は、一見しただけでも、日本の高齢社会の統計景観を劇的に変化させる。人口に占める高齢者の割合が現在の約25%から約13%に縮小し、労働人口がおよそ1760万人増加するのだ。依存人口比率(高齢の退職者1人を支える現役世代の人数)は、現行制度では2.1人であるのが、約5.5人となる。
もちろん、定義を変えたからといって、少子高齢化に伴う医療費や退職金支払額の高騰といった潜在する問題が解決するわけではない。しかし、同学会の提言は真剣に受け止めるべきだ。というのも、この提言は、日本が生産性革命を本格化し、「活気に満ちた高齢社会」を育成する重要なきっかけとなるからだ。
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