経済プレミア・トピックス

北朝鮮核心を離れ諸国を放浪した正男氏の悲惨な最期

大澤文護・千葉科学大学教授
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国外退去処分を受け成田空港で北京行きの飛行機に乗り込む金正男氏とみられる男性=2001年、竹内幹撮影
国外退去処分を受け成田空港で北京行きの飛行機に乗り込む金正男氏とみられる男性=2001年、竹内幹撮影

 北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏(45)が2月13日、マレーシア・クアラルンプールで死亡した。

 韓国の情報機関、国家情報院は15日、「クアラルンプール空港で毒物によって殺害された」という見方を示し、韓国メディアは北朝鮮の複数の女性工作員による暗殺と報じている。

 韓国の北朝鮮専門家は、正男氏暗殺の理由について、高額な海外滞在費を北朝鮮当局に要求し続け、拒否されると欧米への亡命をちらつかせたため、金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長が見せしめのために暗殺許可を下したと分析している。

 権力中枢を離れて長い時間がたった正男氏の死亡によって、北朝鮮の権力構造に変化が起きることはない。だが、北朝鮮工作員による暗殺だった証拠が明らかにされれば、米政府と議会は2008年に解除した北朝鮮の「テロ支援国家」指定を再検討するなどして、金正恩体制の国際的孤立は一層強まるとみられる。

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大澤文護

千葉科学大学教授

1957年東京生まれ。1980年毎日新聞社入社。1997~2002年ソウル特派員、04~08年マニラ支局長、09~11年ソウル支局長、11~13年毎日新聞東京本社編集編成局編集委員。2013年10月から現職。