街の文化漂う 秘蔵の宿 フォロー

東京タワー近く「和のおもてなし」芝パークホテル151

稲葉なおと・紀行作家、一級建築士

8100円(税込み)~

 「和体感サロン」の午前のプログラムは習字だった。先生を務めるのはネパール人の男性フロントスタッフ。補助兼記念写真担当はイタリア人女性。まずは「永」という文字を練習する。

 先生によると、その字には習字の基本となる、とめ・はね・はらいが全て含まれているという。久しぶりの筆に緊張と、外国人に囲まれ日本を背負ったような気負いを感じる。

 宿泊客の外国人比率が伸びている宿も、スタッフの何人かが外国人のホテルも珍しくない。けれども個人客だけでその比率が9割近くという宿は珍しい。習字以外にも折り紙、すし作りなどサロンで毎日2回開催のプログラムに参加するゲストは、やはりほぼ全員が外国人だ。多いのは米国人、次にオーストラリア人で、館内には欧米人特有のフレンドリーな雰囲気が漂う。

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紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)