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マリーヌ・ルペン仏極右「国民戦線」党首の数奇な人生

渡邊啓貴・帝京大学法学部教授
仏国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(2016年5月)=賀有勇撮影
仏国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(2016年5月)=賀有勇撮影

 4~5月に行われるフランス大統領選挙候補者で極右政党・国民戦線(FN、Front National)党首のマリーヌ・ルペン氏(48)は1968年、FN創設者の父ジャンマリ・ルペン氏(88)の3姉妹の末娘として生まれた。

 父ジャンマリ・ルペン氏が72年に設立した当初、FNは泡沫(ほうまつ)政党に過ぎなかったが、84年欧州議会選挙で大躍進して以来安定して支持率10%以上を得る政党にまで押し上げた。2011年のFN党首選でマリーヌ・ルペン氏は、父親時代からの党内ナンバー2でリヨン大学の教授を務めていたブルーノ・ゴルニッシュ氏を破り、後継に選出された。

 マリーヌ・ルペン氏は次期大統領選で、欧州連合(EU)離脱を問う国民投票の実施、自国通貨の復活、移民受け入れの制限--などを公約に掲げる。最近の世論調査では支持率26%で首位を走る。

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帝京大学法学部教授

1954年生まれ。東京外国語大学卒業、パリ第一大学大学院博士課程修了。99年東京外国語大学助教授、99年同教授。シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、『外交』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使などを歴任。2019年から現職。著書に「ミッテラン時代のフランス」「フランス現代史」「ポスト帝国」「米欧同盟の協調と対立」「ヨーロッパ国際関係史」「シャルル・ドゴール」「現代フランス」「アメリカとヨーロッパ」など多数。