切ない歌を探して

「今夜ほど寂しい夜はない」人が去りゆく春と浅川マキ

森村潘・ジャーナリスト
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浅川マキさん=1972年1月
浅川マキさん=1972年1月

 なんとなく毎日が過ぎていく、それも結構速く過ぎていく。なんだろうなと意味もなく、時の移ろいに、夕焼けを見るような寂しさを感じることはないだろうか。

 春が来て桜が咲き、世の中新たな旅立ちだなどと明るく前向きな話であふれていると、なおさらそんな気分になり、ちょっと暗く静かなムードに浸ってみたくもなる。

 こんなとき聴きたい歌といえば、「あれから何年たったのかしら」とか「時の過ぎゆくままに」といった、歌詞が印象的でさらりとしたメロディーだろう。

 ひさしぶりに浅川マキのアルバムを聴いていて、そんな歌に出合った。「こんな風に過ぎて行くのなら」という、ユニークなタイトルの作品だ。オリジナル発表は1972年だから、もう45年も前になる。

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森村潘

ジャーナリスト

大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。