メディア万華鏡

世界中を覆う「タブー破りと本音主義」のザラザラ感

山田道子・元サンデー毎日編集長
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民進党・蓮舫代表の質問に答える安倍晋三首相=2017年3月6日、川田雅浩撮影
民進党・蓮舫代表の質問に答える安倍晋三首相=2017年3月6日、川田雅浩撮影

 有識者や書店員、各社新書編集部などが選ぶ「新書大賞2017」(中央公論新社主催)の大賞は、橘玲さんの「言ってはいけない」(新潮新書)。読むと題名や目次ほど不愉快ではないのだが「人種とIQについてのタブー」や「美人とブスでは経済格差は3600万円」といった「残酷すぎる真実」が書かれている。

 昨年の同賞は井上章一さんの「京都ぎらい」(朝日新聞出版)だった。両書は、ともに「差別」を書いている点で共通する。京都に住む井上さんは自らの体験を元に、都の中心地(洛中)で生まれ育った市民は都の周辺地(洛外)生まれの市民たちを「京都人」であると認識しておらず、洛外出身者を平気な顔で差別すると告発した。

 一方、橘さんは中央公論3月号のインタビューで「日本では『人を不愉快にする』表現の自由はないとされていますが、(略)根拠ある主張を『差別』として抑圧するのは、表現の自由の否定以外なにものでもありません」「私の政治的立場はリベラルなので、当然、あらゆる差別に反対です。一方で、この社会には個人の努力ではどうしようもない不公平があり、それを国家による福祉・教育だけでなくすことはできない」「存在することを…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。