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世界経済に水を差す「トランプリスク」と財政拡大のワナ

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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 米連邦準備制度理事会(FRB)は3月、政策金利を0.25%引き上げた。FRBが3カ月以内に2度の利上げを行ったのは、2015年12月に始まったいわゆる「金融政策の正常化プロセス」の中では、初めてのことである。市場では、本年中にさらに2回程度の利上げを想定する見方が、大勢だ。

 こうした一連の流れは、米国経済に対するFRBの自信を反映している。事実、米国は昨年半ば以降、平均すれば2%を優に上回る実質成長を続けている。失業率も足元4.7%とほぼ完全雇用圏内にある。景況感の改善を背景に、慎重だった企業の設備投資姿勢が、前向きに転じつつある兆候も見える。インフレもおおむね2%程度を維持しており、デフレ懸念は過去のものだ。

 景気が堅調に推移しているのは、米国にとどまらない。米国と並んで世界経済のエンジン役を果たしている中国も、住宅や不動産部門にバブル的な状況を抱えつつも、経済は全体として好調だ。

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。