シティテラス杉並方南町の完成予想図。奥は新宿副都心の夜景
シティテラス杉並方南町の完成予想図。奥は新宿副都心の夜景

くらしマンション・住宅最前線

「国家公務員宿舎跡地マンション」の立地のすごさ

櫻井幸雄 / 住宅ジャーナリスト

 私は2001年から、テレビのワイドショー番組で国家公務員宿舎問題を取り上げる枠にたびたび出演させてもらっている。「国家公務員宿舎は、こんなに便利で環境のよい場所に建っている。その家賃は驚くほど安い。これはおかしい」という趣旨で、公務員の宿舎廃止、土地の有効活用を促した。その番組内で、私は土地の評価を行う役目だった。

東京都内一等地に真四角な土地

 実際に、公務員宿舎がある場所を訪ね歩くと、じつによい場所に建っていることがわかった。都心千代田区の紀尾井町や四番町、港区の南青山など、マンション用地としては一等地に位置する公務員宿舎もあった。

 しかも、土地の形状はきれいな真四角で、なんともうらやましかった。

 相続税を払うために切り売りされ、歯欠け状態になることが多い民間所有の土地とは異なる。明治維新で国有地として確保され、その後、相続の心配なしで確保され続けたのだろう。だから、こんなにのびのびした土地に公務員宿舎が建っている、とため息が洩れた。

東京・上目黒にあった国家公務員宿舎=1957年撮影
東京・上目黒にあった国家公務員宿舎=1957年撮影

 一般市民であれば、先祖代々の土地を完全な形のまま守り続けることは至難の業だ。相続税を払うために切り売りし、高い固定資産税にも悩まされる。節税のために賃貸マンションを建てれば、空室リスクにおびえ、高い建物修繕費が生じて、また土地を切り売りすることになりがち。

 国有地ならば、そのように土地を失い続けていることがない。恵まれた立場にあり、その特権で安い家賃で住んでいるのは、確かに理不尽な気がした。

 それで、公務員宿舎の廃止、土地売却の声が高まり、実際に多くの公務員宿舎が廃止され、売却された。テレビでの放送はここまで。しかし、公務員宿舎跡地には「その後」がある。

シティテラス杉並方南町のエントランスアプローチ
シティテラス杉並方南町のエントランスアプローチ

 廃止され、売却された公務員宿舎はその後、どうなるのか。

 多くは不動産会社に買い取られ、新築マンションとして分譲。人気物件となり、好調に売れてしまう。その好例となる新築物件が、今、首都圏と近畿圏で一つずつ出ている。

東京・杉並と兵庫・伊丹で新たに分譲

 首都圏では、東京都杉並区で「シティテラス杉並方南町」が分譲されている。売り主は住友不動産。東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅から徒歩1分もしくは徒歩2分(住宅棟によって異なる)という便利な場所で、方南町駅周辺の商店街にも近い。また、「方南町」駅に新しい商業施設ができる予定もある。

シティテラス杉並方南町のエントランス
シティテラス杉並方南町のエントランス

 便利な“駅近マンション”なのだが、駅周辺の騒がしさから一歩離れ、落ちついた住宅エリアに位置するという特徴もある。さすがは公務員宿舎跡地なのだ。

 全298戸と規模が大きく、敷地内に保育施設が設けられ、医療施設も入る予定になっている。住戸は3LD・K中心で、6000万~7000万円台で購入できる住戸も用意されている。

 もう一つ、近畿圏では、兵庫県伊丹市で野村不動産の「プラウドシティ伊丹」が分譲されている。建設地は伊丹市の昆陽東(こやひがし)1丁目。一帯は約1300年前、行基上人が昆陽池から水路を引き、豊かな田園地帯として発展してきた場所である。

プラウドシティ伊丹の外観
プラウドシティ伊丹の外観

 現在は、伊丹市役所と阪急伊丹駅との中間に位置しており、住宅地としての歴史が古く、落ち着きもある。

 その昆陽東1丁目で、同マンションはスーパーマーケットやドラッグストアが入る商業施設との大規模複合開発で建設される。マンションの隣にスーパーマーケットがあるのだから、便利。そして、全447戸の大規模となるのも特徴だ。

 同マンションの住戸は、専有面積が70平方メートルを超える3LDKが多く、100平方メートルに近い4LDKも用意される。その最多予定価格帯は4000万円台だ。

プラウドシティ伊丹のリビングダイニング
プラウドシティ伊丹のリビングダイニング

元国有地だから物件には限りがある

 二つのマンションは、いずれも販売開始前から資料請求や来場者が多く、人気マンションとなっている。

プラウドシティ伊丹のエントランスホール
プラウドシティ伊丹のエントランスホール

 国家公務員宿舎跡地に建設されるマンションは、どこも好立地で、建物の質も高い。要注目の物件になるのだが、これからも継続的に出てくるものではない。

 物件数には限りがあり、今しか購入することができないのも事実。まさに、注目のマンションといえるだろう。

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櫻井幸雄

櫻井幸雄

住宅ジャーナリスト

1954年生まれ。年間200物件以上の物件取材を行い、首都圏だけでなく全国の住宅事情に精通する。現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説、文章のおもしろさで定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞、日刊ゲンダイで連載コラムを持ち、週刊ダイヤモンドでも定期的に住宅記事を執筆。テレビ出演も多い。近著は「不動産の法則」(ダイヤモンド社)。

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