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藻谷浩介がロシア飛び地で見た“スターリンの亡霊”

藻谷浩介・地域エコノミスト
古い時代のカリーニングラードの風情を残すドーナの塔(写真は筆者撮影)
古い時代のカリーニングラードの風情を残すドーナの塔(写真は筆者撮影)

ロシア・カリーニングラード編(3)

 旧ソ連が、第二次大戦時にドイツから「戦利品」として奪い取った、バルト海の港町・カリーニングラード。プロイセン王国建国の地・ケーニヒスベルクとしての栄光の歴史を秘めつつ、現在はロシアの飛び地として、EU(欧州連合)の国々に囲まれて孤立している。

街の東正面の入り口に再建された「王の門」

 旧ドイツ領ケーニヒスベルク、現在のロシア領カリーニングラードの市街地をさまよう筆者。ドイツ時代の匂いは剥げ落ち、「スターリン建築マニア」(旧ソ連時代のマッチョでバッドセンスな建築デザインの「ずれ方」「残念さ」をめでる人たち)だけが喜びそうな街並みが続く。

 観光客もまばらで、中国人もアラブ人も黒人も、米国人らしき感じの人も見かけない。かといって特にじろじろ見られるでもなく、勝手気ままに動き回れる中、筆者の足は第二次大戦当時の戦跡に向かっていく。

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地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。