(c)Jafar Panahi Producutions
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社会・カルチャー週末シネマ

「人生タクシー」で教わるイラン人の勇気とユーモア

勝田友巳 / 毎日新聞学芸部長

 こんな映画の作り方があるのかと、感嘆せずにはいられない。イランの街中を流すタクシーに、次々と客が乗り込んでくる。タクシーの車内に据え付けられたカメラが、運転手と客の会話を捉える。作りは簡素で単純、カメラは車の外に出ない。

 それなのに、画面はイランの雑踏にいるかのようににぎやかで、市民の本音が飛び交い、街の息吹が吹き抜けていく。監督は、政府からイランでの映画製作を禁じられているジャファル・パナヒ。自らタクシー運転手にふんし、当局の目をかいくぐって製作したこの映画は、2015年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した。

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勝田友巳

勝田友巳

毎日新聞学芸部長

1965年、茨城県出身。北海道大文学部卒。90年毎日新聞に入社し、松本支局、長野支局などを経て、東京本社学芸部。映画を担当して15年、新作映画を追いかける一方、カンヌ、ベルリンなど国際映画祭や撮影現場を訪ね、映画人にも話を聞いて回る日々。毎日新聞紙面で「京都カツドウ屋60年 馬場正男と撮影所」「奇跡 軌跡 毎日映コン70年」の、2本の映画史ものを連載中。