藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

藻谷浩介がロシアの西の端で考えた北方領土のこと

藻谷浩介・地域エコノミスト
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観光利用はされていない旧ドイツ軍の施設(写真は筆者撮影)
観光利用はされていない旧ドイツ軍の施設(写真は筆者撮影)

 旧ソ連が、第二次大戦時にドイツから「戦利品」として奪い取った、バルト海の港町・カリーニングラード。現在はロシアの飛び地として、EU(欧州連合)の国々に囲まれて孤立している。旅の最後に考えたこととは……。

 第二次大戦末期、旧ソ連とドイツ両軍・市民合わせ30万人近い人命の犠牲の上に、ロシア領に組み込まれたカリーニングラード。戦争で壊滅し、旧ソ連風に再建された市街地を6時間半歩き回った末、最初に荷物を預けた観光案内所の前まで戻って来た。

 とはいえ当市は、中世はハンザ同盟の一員だった貿易港であり、世界の琥珀(こはく)の9割を産出する地でもある。その位置からしても、欧州各地との交流の増える方が経済発展することは自明だ。だがそう簡単には行かないだろう。観光案内所の女性スタッフ(おそらく大学生で、英語が堪能)といろいろ会話しながら、1日の終わりに思い巡らした。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。