思いを伝える技術

「婉曲表現の真意」は伝わる時と伝わらない時がある

川井龍介・ジャーナリスト
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 「婉曲(えんきょく)」という言葉があります。意味は、手元の辞書によれば、「表し方が、遠まわしなこと。露骨にならないように言うこと」とあります。使い方として「婉曲に断る」と一例が出ています。

 「実は、うちの会社もこのところ業績が厳しくてね……」という言い方で、下請けにこれ以上の取引をやめたいことを伝えたり、「家で食べるとついつい食が進んで」と、うれしそうに話し、暗に妻の料理自慢をしたりするのがこれです。

 日常生活でも、ビジネスでも婉曲な言い方というのは、「やんわりと言う」とか、「それとなくほのめかす」という言い方も含めてよく使われます。コミュニケーションという点で、「日本人ははっきりものを言わない」などとよく言われますが、これも最近話題の「忖度(そんたく)」に似て、日本的な文化のひとつでしょう。

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川井龍介

ジャーナリスト

1980年慶応大学法学部卒。新聞記者などを経てフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター。実用的な文章技術を説いた「伝えるための教科書」(岩波ジュニア新書)をはじめ「大和コロニー~フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)、「フリーランスで生きるということ」(ちくまプリマ―新書)を2015年に出版。このほか「ノーノー・ボーイ」(ジョン・オカダ著、旬報社)の翻訳をてがける。