藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

スリランカの神秘 一度もインドに支配されず生きる

藻谷浩介・地域エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
コロンボの商業地区。インドの大都市より渋滞が少なく空気もクリア(写真は筆者撮影)
コロンボの商業地区。インドの大都市より渋滞が少なく空気もクリア(写真は筆者撮影)

 大陸の大国の横で、小さな島国が独立している場合、そこには何か歴史的、文化的に独特な関係が存在する。中国に対する日本、大陸欧州に対する英国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国に対するシンガポールと、地政学的位置の類似する箇所を挙げていくと、「インドに対してはスリランカ」だと思い当たる。四半世紀続いた内戦が2009年に終結して後、あまり報道されなくなったこの国は、何がインドと違っていて、そして今はどうなっているのだろう?

 2016年12月中旬。その年最後の海外ショート・トリップの行き先にスリランカのコロンボを選んだ筆者は、電子申請したビザでスムーズにスリランカ入国を済ませ、バンダラナイケ国際空港からコロンボ市内に向かうエアポートバスに乗った。1人当たり国内総生産(GDP)ではインドの2倍だがまだまだ途上国。バスは1時間の乗車で運賃は150スリランカ・ルピー(107円)と格安だ。

 インド系の顔立ちで席が埋まる中、よれよれのサリーを着た白人女性が隣に座ってきて、メモ帳にさらさら英語を書き付け、目を見開いて「読め」と促す。後でわかったのだが、彼女は南インドにあるヒンズー教系の教団の信者で、教祖の指示か何かで「無言の行」を続けているらしい。当方は口頭で、向こうは筆談で会話した。

この記事は有料記事です。

残り1957文字(全文2500文字)

藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。