社会・カルチャーベストセラーを歩く

フォーサイスが自伝「アウトサイダー」で描く数奇な人生

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 私は自分を元気づけてくれる本が好きだ。私に力を与えてくれる本には、いろいろな種類があるが、したたかな人物が社会のあり方や人間の業を踏まえたうえで、前向きに豊かな日々を生きる物語も、その一つだ。あまり理想主義的だと疲れてしまう。

 フレデリック・フォーサイスの自伝「アウトサイダー 陰謀の中の人生」(黒原敏行訳、KADOKAWA)は案にたがわず、そういう一冊だった。多彩な経験が簡潔な文章と細かい章立てで歯切れよく描かれる。翻訳者の功績も大きいのだろう。

 フォーサイスは1938年生まれ。ドゴール暗殺計画がテーマの「ジャッカルの日」、アフリカの小国にクー…

この記事は有料記事です。

残り1470文字(全文1748文字)

重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。

イチ押しコラム

知ってトクするモバイルライフ
米ニューヨークで発表されたギャラクシーノート9

サムスン「ギャラクシーノート9」パワフルさが売り

 サムスン電子は8月9日、米ニューヨークでギャラクシーノートシリーズの最新モデルとなる「ギャラクシーノート9」を発表した。グローバ…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
アンマンのダウンタウンに完全な形で残るローマ時代の円形大劇場(写真は筆者撮影)

ヨルダン首都アンマン「19の丘・特異な地形」の街

 ◇ヨルダン・アンマン編(1) 西はイスラエル(と日本は未承認だがパレスチナ)に正対し、北はシリア、東はイラクに隣接するヨルダン。…

メディア万華鏡
自民党本部前で杉田水脈議員の辞職を求めて抗議する人々=2018年7月27日、宮間俊樹撮影

「生産性ない」発言の杉田水脈議員も差別されている?

 「指導」で終わり? 月刊誌「新潮45」8月号に「『LGBT』支援の度が過ぎる」を寄稿した自民党の杉田水脈衆院議員(比例中国ブロッ…

世界透視術
中国の習近平国家主席=2012年11月、隅俊之撮影

対米貿易戦争へ習主席が発した「思想の国家総動員令」

 世界経済がどうなるか、米中貿易戦争の行方にかかっている。米中貿易戦争の行方がどうなるかは、トランプ米大統領と習近平・中国国家主席…

職場のトラブルどう防ぐ?

「早く転職先に」退職意思を伝えた29歳男性の悩み

 A介さん(29)は、職員数約60人の会計事務所に勤務しています。大学卒業後は会社員をしていましたが、税理士資格を取って独立したい…