
「貧困クライシス」(毎日新聞出版、972円)の著者・藤田孝典さんと芥川賞作家、平野啓一郎さんの対談3回目は、「失われた20年」とその先の社会の形がテーマになりました。私たちは経済成長以外の「幸せモデル」を作ることができるでしょうか。【構成/経済プレミア編集部・戸嶋誠司、撮影/高橋勝視】
藤田孝典さん×平野啓一郎さん対談(その3)
編集部 藤田さんも平野さんも就職氷河期世代、バブル経済崩壊後の失われた20年を生きた世代ですね。
平野 僕らが社会に出る1997年ごろ、確かに就職が厳しくなりました。主観ですが、95~96年ぐらいまでバブルが崩壊した実感は実は薄かった。東京にいなかったせいもあるかもしれませんが。97年に山一証券が倒産し、バブルの2番底がドーンと来て、それ以降の就職状況が厳しくなりました。景気の問題だけでなく、団塊ジュニア世代の学生数も多かったので、先輩に聞いていた状況とまったく違った。面接で人格を否定され、…
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