思いを伝える技術

言葉そのものよりも“言葉の動機”を探ると嫌われる

川井龍介・ジャーナリスト
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 作家であり多くの英文学の翻訳をこなす村上春樹氏が、最初に読んだ英語の本は、ロス・マクドナルドの短編集だったといいます(毎日新聞5月11日夕刊)。ハメット、チャンドラーにつづくハード・ボイルド小説の作家ですが、1950年代のカリフォルニアをこんなにも暗く描いた人はいないとも言われるクールな作風で、純文学に勝るとも劣らない深い心理描写がマクドナルドの魅力の一つになっています。

 その彼の後期の作品「別れの顔(The Goodbye Look)」のなかで、私立探偵リュウ・アーチ…

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川井龍介

ジャーナリスト

1980年慶応大学法学部卒。新聞記者などを経てフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター。実用的な文章技術を説いた「伝えるための教科書」(岩波ジュニア新書)をはじめ「大和コロニー~フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)、「フリーランスで生きるということ」(ちくまプリマ―新書)を2015年に出版。このほか「ノーノー・ボーイ」(ジョン・オカダ著、旬報社)の翻訳をてがける。