藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ルクセンブルク 1人当たりGDP世界一10万ドルの謎

藻谷浩介・地域エコノミスト
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断崖上に築かれた城塞都市・ルクセンブルク旧市街と外周の川沿いの住宅街(写真は筆者撮影)
断崖上に築かれた城塞都市・ルクセンブルク旧市街と外周の川沿いの住宅街(写真は筆者撮影)

 1人当たりGDP(国内総生産)が日本の2.7倍の10万ドル超(2016年)と、世界一のルクセンブルク。だが、この国に行ったことがあるというビジネスマンに、筆者はこれまで会ったことがない。実際にはどういう状況なのだろうか。限られた時間と行動範囲の中で感じ取った「世界一豊かな国」の現状と真価とは。

 2017年5月。ベルギーのブリュッセルからチェコのプラハに移動する日に、無理やりルクセンブルクに立ち寄ってみた。

 滞在時間2時間半。面積は2586平方キロ(佐賀県よりやや広い)。いくら人口58万人(日本最少の鳥取県なみ)の極小の国の、小さな首都(人口10万人)だからといって、到底その時間で全貌をつかめるわけもなかったが、感性を研ぎ澄ませて歩き回る。こういうときに特に重要なのは、何が「あるか」よりも、普通ならあるはずの何が「ないか」という観察だ。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。