社会・カルチャー街の文化漂う 秘蔵の宿

茶室と和の芸術がいざなう ホテルクリオコート博多

稲葉なおと / 紀行作家、一級建築士

4600円(税込み)~

 ここに宿泊するのは3度目。そして訪れるたびに思ってしまう。名建築“階”の存在をどれだけの人が知っているだろう、と。

 泊まっている人はおそらく立地の至便性、洋室客室のバリエーションと過ごしやすさ、朝食の魅力、そして利用しやすい料金設定などを理由にこのホテルを選んだのだろう。

 まさかその建物の一つの階がまるごと、扉の蒔絵(まきえ)や引き手や釘(くぎ)隠しといった細部にまで当代一流の職人が贅(ぜい)を尽くした特別階となっていることなどまったく知らずに部屋を選び、チェックアウトしているのではないだろうか。

この記事は有料記事です。

残り1618文字(全文1881文字)

稲葉なおと

稲葉なおと

紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)