藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

アゼルバイジャン・バクー カスピ海沿いの複雑国家

藻谷浩介・地域エコノミスト
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オイルマネーで急成長したカスピ海に面するバクーの町(写真は筆者撮影)
オイルマネーで急成長したカスピ海に面するバクーの町(写真は筆者撮影)

 東アジア人種を「モンゴロイド」と呼ぶのに対し、白人種は「コーカソイド」(コーカサス人)と呼ばれる。だがそのコーカサスはどこにあって、日本からはどうやって行くのか? 名前からして白人種の故郷なのだろうけれども、今はアジアなのか、ヨーロッパなのか? 安全なのか、危ない場所なのか? 強烈な個性を持ちながら日本ではほとんど紹介されることのない旧ソ連・コーカサス3国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)の、行ってみて初めてわかる実像とは。まずはアゼルバイジャンの首都バクーに飛んだ。

 西を黒海、東をカスピ海、北をカフカス山脈、南をイラン高原に挟まれた、回廊のようなコーカサス3国。三つ合わせても面積は日本の半分、人口は14%、国内総生産(GDP)となると1%少々に過ぎない。だが、多年世界の東の果てで孤立してきた日本とは反対に、「欧亜の十字路」とでも言うべき位置にある。

 過去にユーラシアに覇を唱えたあらゆる世界帝国がここを通り、そして去っていった。しかし当地に根付く少数民族たちは、潮が引くと表れ出る岩礁のように、幾度征服されても決して大国の中に溶け去らず、それどころか互いに融合することもなく、繰り返し独立を回復してきたのである。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。