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「短期売買が前提」投信販売業者の報酬体系のおかしさ

浪川攻・金融ジャーナリスト

 個人投資家に対し、投資信託を活用した長期の資産形成を促す流れが強まっている。こうしたなか、投信の長期保有という投資手法に見合った報酬体系とはどういうものか、という議論が水面下で始まっている。夏場以降、証券分野におけるホットなテーマに浮上してもおかしくないムードだ。

 証券会社や銀行などが投信を販売する際、顧客が投信の購入ごとに支払う手数料が収入となる。これは、あらかじめ設定した手数料率に購入金額を掛け合わせた金額である。ちなみに、株式の場合、売却時にも取引手数料が発生するが、投信の場合には手数料は購入時だけだ。

 これに対して、最近、導入に向けた議論が出始めたのは、顧客の運用資産残高に一定率の報酬を掛け合わせた「アドバイザリー報酬体系」と呼ばれるものだ。

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金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。