
金融市場において、久しぶりに「円キャリートレード」と呼ばれる金融取引が話題にのぼりそうな雲行きになってきた。円キャリートレードは、海外の投機筋や投資家が市場から調達した巨額の円資金をドル資金に転換し、世界の金融市場で投資するもの。円金利の世界的な低さに着目した動きである。
際立つ国内金利の低さ
「円金利の世界的な低さがいよいよ際立ってきた」。ある外資系ファンドの幹部はこう指摘している。
米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和局面の「出口」である金利引き上げに動いている。その一方で、わが国では日銀が量的緩和とマイナス金利政策を続けているからだ。市場から調達した資金を元手に巨額投資するファンドにとって、調達コストが格安な円資金は「魅力的なマネー」になってきたわけである。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。