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「減給連発で退職者続出」超ワンマン社長の大問題

井寄奈美・特定社会保険労務士

 A社長(55)は、社員数約20人の生活雑貨企画制作会社を経営しています。10年前までは業績も好調で、50人の社員を雇っていましたが、最近は業績が低迷し事業も縮小傾向です。社員の入れ替わりも激しくなっていますが、これにはA社長の振る舞いが関係していました。

全ての社員に指示が行き届かずトラブル続出

 A社長は30年前に個人で事業を始め、その後法人化しました。精力的で人を引きつける魅力を持ち、さらにはアイデアマンです。A社長が企画・制作した商品はコンスタントに売り上げを伸ばし、会社も大きくなりました。

 しかし、A社長は個人経営が長かったため、人の使い方が下手でした。「自分ならこうする。自分が若いときはこうだった」と言って過去の成功体験を踏襲しました。他人を認めず、A社長がすべての指示を社員に出していました。

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/