藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

“火焔タワーと油の湖面”石油が作り上げた首都バクー

藻谷浩介・地域エコノミスト
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にぎわうバクーの高級ショッピング街。スターバックスもある(写真は筆者撮影)
にぎわうバクーの高級ショッピング街。スターバックスもある(写真は筆者撮影)

 東アジア人種を「モンゴロイド」と呼ぶのに対し、白人種は「コーカソイド」(コーカサス人)と呼ばれる。だがそのコーカサスはどこにあって、日本からはどうやって行くのか? 名前からして白人種の故郷なのだろうけれども、今はアジアなのか、ヨーロッパなのか? 安全なのか、危ない場所なのか? 強烈な個性を持ちながら日本ではほとんど紹介されることのない旧ソ連・コーカサス3国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)の、行ってみて初めてわかる実像。アゼルバイジャンの首都バクーの第3回。

 世界遺産のバクー旧市街の宿で、ご機嫌な食事と夜景を堪能した筆者。しかし翌日あれこれ歩いてみると、やっぱりいろいろ難儀な部分も目に入ってくる。ここはそもそも、人の生存にあんまり向いていない土地なのではないか。石油が出る前の当地住民はどう暮らしていて、石油がなくなったら今度はどう暮らしていくのか。

 午前。迷路状の旧市街をさ迷い歩く。ムスリム世界の旧市街に共通のポイントは、路地が入り組んで地図がまったく役に立たない、丘の上にあって時々展望が開ける、宮殿がある、犬がおらず猫が多いなどだが、ここもそれにたがわぬ作り。だが、維持のために公共投資をつぎ込んでいるのか、生活感がやや希薄なのが引っ掛かった。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。