
A子さん(29)はある会社の営業事務職です。昨年、同僚の急な退職と、育児休業から復職した短時間勤務の同僚をフォローしたことが重なって残業が多くなり、社会保険料が急に増えて驚いてしまいました。
3~5月の残業時間が大幅に増加した結果
A子さんの給与は、手当などを含めて月約25万円。年末など特定の時期以外に残業はほとんどなく、多くても月10時間程度です。社会保険料や所得税、住民税を差し引いた毎月の手取りは約20万円でした。1人暮らしで、家賃と光熱費、通信費などに毎月12万円ほど必要です。残りで食費や交際費、身の回りの生活費をまかない、余裕はありませんでした。
ところが、昨年2月末に急に同僚が退職し、A子さんの業務量が増えました。3月の残業時間は月60時間になりました。また、育児休業が終わった同僚B子さんが4月に復帰しましたが、短時間勤務の上、子供が体調を崩したなどの理由で休むことも多く、A子さんの業務量は増えた状態が続きました。結局、4月と5月の残業はそれぞれ45時間でした。残業代は翌月の給与で支払われます。4月の残業代は12万円、5月と6月は9万円…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/
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