高齢化時代の相続税対策 フォロー

家族に苦労を残さない「財産の現金化」という相続

広田龍介・税理士

 Oさん(72)は、東京都内の商業地で飲食店や事務所が入居する賃貸ビルを所有し、経営している。

 敷地は借地権で、借地権割合は8割の地域。相続税評価額がここ数年上昇している地域だ。5階建ての賃貸ビルは築45年と老朽化していて、最近、建設会社の営業マンが熱心に建て替えを勧めてくる。

 「建て替えれば10階程度まで建てることができて、収入も今より格段に増えますよ。相続対策の効果もあり、次の世代に優良な資産を残すことができます」

 うまいことを言われ、つい真剣に考えてしまう。というのも、周りにどんどん新しい建物が建ち、自分のビルが取り残されていくような気がするからだ。

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。