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待たされて退屈な邦銀「ダサい支店」は変われるか

浪川攻・金融ジャーナリスト

 銀行店舗の大改革が始まる。昨年来、銀行幹部による欧米出張が相次いでいる。その目的のひとつは欧米銀行の最新鋭店舗の視察だ。もちろん、自行の店舗改革のためである。

 背景にあるのはマイナス金利政策である。国内収益悪化の長期化が確定的であり、それをはね返すには、個人や中小企業を対象とした「リテールバンキング分野のコスト構造改革に本格的に着手し、コスト競争力を高めるしかない」(メガバンク幹部)からだ。「リテールバンキング」とは、個人や中小企業を対象とする支店での小口金融業務のことだ。

 欧米の銀行業界ではこの10年余り、ITを駆使しながら自在な店舗を作りあげる変化が起きている。「店舗革命」と呼ぶべきものだ。これは、リーマン・ショック後に欧米で湧き起こった銀行への厳しい批判に対処し、多くの銀行が顧客支持を回復させるために、「よりよい店舗作り」を目指したことによる。

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金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。