藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

多民族国家ジョージアの平和を42度硫黄泉で考えた

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ナリカラ要塞から、聖ニコラス教会の向こうにトビリシ中心部を望む(写真は筆者撮影)
ナリカラ要塞から、聖ニコラス教会の向こうにトビリシ中心部を望む(写真は筆者撮影)

 東アジア人種を「モンゴロイド」と呼ぶのに対し、白人種は「コーカソイド」(コーカサス人)と呼ばれる。だがそのコーカサスはどこにあって、日本からはどうやって行くのか? 名前からして白人種の故郷なのだろうけれども、今はアジアなのか、ヨーロッパなのか? 安全なのか、危ない場所なのか? 強烈な個性を持ちながら日本ではほとんど紹介されることのない旧ソ連・コーカサス3国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)の、行ってみて初めてわかる実像。ジョージア(旧称グルジア)の首都トビリシの第3回。

 トビリシ市街の南端で早めの夕食を終えた後に、ナリカラ要塞(ようさい)と温泉という、この町のハイライトを楽しむ。だがその最中に、ジョージアの抱える、経済よりもさらに厄介な構造問題に、改めて気付く筆者だった。

 7月初旬、18時半でもまだ日は高い。2012年開業のロープウエーで、ナリカラ要塞に登ってみる。登った先の南側が城塞、北側は植物園になっていて、「ジョージアの母」という剣を掲げた巨像が建っている。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。