
銀行のカードローン拡大に批判が強まっている。過剰融資を懸念する声や、消費者金融並みの高金利である一方、貸金業法で定められた融資額の制限が銀行には適用されず、多重債務対策の抜け穴になりかねないためだ。
全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)はこうした批判に対して、「資金ニーズのあるお客様に、返済能力のある範囲内でしっかりと応えていくことを通じて健全な消費者金融市場を育成する」と反論する。だが、銀行は、カードローン利用者を“大切な顧客”として扱っているのかどうか。銀行はそこから問われている。
銀行が取り扱っているカードローンは通常、年率3~14%程度の金利設定となっている。住宅ローンや企業向けローン、さらには個人向けの目的別ローンに比べると、極めて高い金利水準と言って間違いない。もし銀行業界が、カードローン利用者を“大切なお客様”と位置付けているのならば、頻繁に利用する利用者には、利用貢献度の高さに応じて優遇金利が提供されていい。要するに「顧客還元」である。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。