高齢化時代の相続税対策

着手が早ければ早いほど打つ手も増える生前対策

広田龍介・税理士
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日本有数の繁華街=本社ヘリから
日本有数の繁華街=本社ヘリから

 東京都S区内のAさん(63)は、母(87)の土地に法人名義の商業ビルを持ち、1棟貸しで運用している。

 面積160平方メートルの母親の土地は、都内有数の繁華街近くにあり、法人が借地権を持っている。商業ビルは築45年の5階建てで、老朽化が目立ってきた。

 高度商業地区のため、借地権割合は90%の地域。路線価も1平方メートル当たり2200万円超とかなり高い。母の土地の底地評価は10%だが、それでも評価額は高い。その上、90%の借地権を持つ法人の株式を、母が8割以上所有している。株価評価額も、非常に高い状態だ。母はそのほかに、自宅と賃貸アパート、金融資産を持っている。

 商業ビルは1棟貸しのため、近隣の他の物件に比べて高い賃料を設定できている。しかし、建物が老朽化しているので対策が必要だ。本当はすぐに建て替えたいのだが、数年前、借り主と契約更新をした際に、建物老朽化を理由に、賃貸借契約を定期借家契約に変えていた。

 その契約期間があと5年あるので、少なくとも5年後にしか建て替えに着手できない。工期を2年とすると、完成は7年後になる。さらに、法人の株価評価の計算上、建物建築による節税効果が出るまで3年の期間が必要だ。

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。