働き方改革は、ただ残業を禁止するだけでは実現しない=新入社員の過労自殺が問題になった電通本社(中央)2016年11月7日、北山夏帆撮影
働き方改革は、ただ残業を禁止するだけでは実現しない=新入社員の過労自殺が問題になった電通本社(中央)2016年11月7日、北山夏帆撮影

スキル・キャリア職場のトラブルどう防ぐ?

「残業しわ寄せ」に苦しむ中小企業の働き方改革とは

井寄奈美 / 特定社会保険労務士

 A太さん(55)は、従業員数約20人の小さな広告代理店を経営しています。主な事業は、広告宣伝用販促物の企画・制作ですが、今年に入ってから急に業務量が増え、社員の残業や休日出勤が増えました。A太さんはこのままでは社員に過剰な負担がかかると考え、なぜ残業が増えているのかを調べました。

顧客企業と夕方以降の打ち合わせが急増

 社員は昨年まで、顧客企業に出向いて打ち合わせをし、顧客の依頼内容を会社に持ち帰って作業していました。しかし最近はそのスタイルに加えて、顧客企業の担当者が会社に来て、打ち合わせをすることが増えました。

 顧客の来社は、その大半が午後5時以降です。会社には小さな会議室が一つと打ち合わせスペースが1カ所あ…

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井寄奈美

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/