経済を読む

相続税対策で「生前贈与」を活用するための知識

塚崎公義・久留米大学商学部教授
  • 文字
  • 印刷

 相続税対策として、生前贈与が広く行われているようです。他界した後に多額の財産が残されると、相続人に相続税を課せられます。それを回避するために、生前に配偶者や子供などに財産を贈与し、相続財産を減らしておこう、というわけです。

 相続税も贈与税も、金額が大きいほど税率が高くなる「累進課税」なので、一度に相続するより一部を生前贈与しておいた方が得な場合が多いことになります。もっとも、同じ金額ならば贈与税の方が税率が高く、極端な場合、生前に一度に全財産を贈与すると相続税よりもはるかに税額が増えてしまうので、注意が必要です。

 まず活用したいのが、子や孫の生活費の負担です。これは贈与とは見なされず、贈与税はかかりません。祖父が父に贈与して、父がその中から子の学費を払うと贈与税がかかることがありますが、祖父が孫の学費を直接払えば贈与税は不要なのです。

 次に、贈与税についても、相続税と同様、基礎控除があるので、これが使えます。1人あたり年間110万円までの贈与を受ける分には、贈与税がかからないのです。配偶者と2人の子に、毎年110万円ずつ贈与すれば、10年間で相続財産を3300万円減らすことがでます。孫がいれば、孫に贈与することで、相続財産がさらに減りますし、自分から子への相続税のみならず、子から孫への相続税も節約できることになります。

この記事は有料記事です。

残り982文字(全文1551文字)

塚崎公義

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂 よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」など著書多数。