くらし崩壊家族 日本の現場

息子の精神疾患を30年隠し続けた両親の葛藤

押川剛 / (株)トキワ精神保健事務所所長

 病気の自覚がなかったり、症状が慢性化したりしているのに医療につながりにくい精神疾患患者を抱えて苦しむ家族がいます。危機的な家庭からのSOSを受け、本人を説得して医療機関へとつなげてきた押川剛さんとともに、家庭内や地域でどのように対処すればよいかを探る連載2回目をお届けします。

20代半ばで「統合失調症」と診断

 今回は北陸地方に住む50代のA男さんと、同居する70代の母親のケースである。家族へのヒアリングと視察調査で状況を把握した。2年前に他界した父親は公務員を勤め上げた真面目できちょうめんな人で、母親は長く専業主婦として家庭内を切り盛りしていた。A男さんには姉のB子さんがいるが、結婚を機に関西地方で暮らし、実家から足が遠のいていた。

 A男さんは大学入学と同時に都内で1人暮らしを始め、卒業後は食品メーカーに就職した。しかし数年後、A…

この記事は有料記事です。

残り2680文字(全文3050文字)

押川剛

押川剛

(株)トキワ精神保健事務所所長

1968年北九州市生まれ。専修大学中退。92年、神奈川県でトキワ警備=現・(株)トキワ精神保健事務所(東京都新宿区)=を創業。96年から精神障害者移送サービスに業務を集中。強制拘束ではない、対話と説得で患者を医療につなげるスタイルを確立し、1000人超の患者を移送してきた。移送後も面会などを通じて自立・就労支援に携わり、その様子はドキュメンタリーとして多数放映された。ジャーナリスト・ノンフィクション作家としても活動。「『子供を殺してください』という親たち」「子供の死を祈る親たち」(新潮社)などの著書がある。現在、月刊コミック@バンチ(新潮社)で原作のノンフィクション漫画を連載中。

イチ押しコラム

職場のトラブルどう防ぐ?
 

働き方改革のしわ寄せ?「収入半減」パート女性の嘆き

 A実さん(55)は、チェーン展開する自宅近くのクリーニング店で受付のパートとして働いています。昨年「働き方改革」への対応で店舗に…

メディア万華鏡
婚約が内定、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=東京都港区の赤坂東邸で2017年9月3日、代表撮影

「開かれた皇室」が生んだ?小室さんスキャンダル報道

 ガソリン、投下しちゃった。秋篠宮家の長女眞子さま(27)との婚約が延期となっている米国留学中の小室圭さん(27)が1月22日、母…

知ってトクするモバイルライフ
第2弾の100億円還元キャンペーンを発表するペイペイの中山一郎社長=東京都千代田区で、今村茜撮影

ペイペイ再び「100億円キャンペーン」は小粒に還元

 ソフトバンクとヤフーが合弁で設立したQRコード決済事業者のペイペイが、総額100億円キャンペーンの第2弾を2月12日から始める。…

ニッポン金融ウラの裏
 

変革の時代に「動かない」言い訳を探す銀行の勘違い

 銀行が変革の時代を迎えていることはいまさら言うまでもない。しかし、そのような言葉がマスコミをにぎわしている割には、銀行業界で実際…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
荒野の中の一軒宿でもてなしてくれた夫婦。彼らはアフリカーナー(オランダ系白人)だった(写真は筆者撮影)

南アに囲まれた「レソト王国」入国直前まさかの撤退

 ◇南アフリカ編(6) 南アフリカに囲まれた小さな王国レソトに最も近い田舎町レディブランドまで、700キロ近くを1日で走ってきた筆…