スキル・キャリア職場のトラブルどう防ぐ?

仕事ができない社員の退職表明と翌日の撤回は有効か?

井寄奈美 / 特定社会保険労務士

 A男さんは従業員約200人の会社の人事部長です。部長に昇進して5年目で、その間、入社7年目の社員B子さんの処遇に頭を悩ませてきました。そんなある日、突然B子さんから退職の申し出があり受理したものの、翌日に「退職を取りやめたい」と言われました。

実務ができない社員の処遇に悩む人事部長

 A男さんは部長になってから半年に1度の定期異動のたびに、B子さんの所属部門長から必ずB子さんの異動を要望されていました。通常、社員の異動は2~3年が目安ですが、B子さんは入社7年で5回も異動していました。現在の所属部門はA男さんの同期が部門長で、頼み込んで引き受けてもらっていました。しかし、1年半が経過して「もう限界だ」と言われていました。

 B子さんは有名大学出身の期待の新人でしたが、入社してすぐに実務がうまくできないことがわかりました。…

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井寄奈美

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/