高齢化時代の相続税対策

長生きが幸せとは限らない92歳会長の寂しい晩年

広田龍介・税理士
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 東京都大田区のIさん(92)が先ごろ亡くなった。2年前に奥さんを亡くし、長女と次女と暮らしていた。他に長男がいる。

 長女、次女は以前、それぞれ結婚して実家を出たが、どちらも夫婦仲がうまくいかず、数年後に離婚して実家に戻ってきた。2人とも子供はいない。長男は、Iさんが創業した会社を継ぎ、社長になった。Iさんは会長として働いていた。

 子供のしつけに厳しかったIさんは、娘たちが実家に戻ってきたあと自宅を建て直し、Iさん夫婦と娘たちの居住区域の玄関を別々にして、2世帯形式にした。家の中はドア1枚で行き来できる状態を保ちながら、生活をきっちり分けたのだ。Iさんなりのけじめのつけ方だったが、娘たちには厳しすぎるけじめ、に見えた。

 Iさんが仕事で留守のときは、奥さんが上手に娘たちの相手をしていた。しかし、クッション役だったその奥さんが2年前、急な病気で亡くなって、Iさんは娘たちとじかに向き合うことになった。そして、これまで厳しく接してきた反動で、娘たちの反乱に直面した。

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。