育児サバイバル

仕事大好き30代父親がある日突然ワンオペ育児に!

藤田結子・明治大商学部教授
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子供の朝食を作るお父さん=埼玉県で関口純撮影
子供の朝食を作るお父さん=埼玉県で関口純撮影

 先日公開された「牛乳石鹸(せっけん)Webムービー『与えるもの』篇」が、ネット上で話題になりました。子どもの誕生日に後輩と飲んで帰ってきた父親の姿を描いたところ、「何を表現したいのか分からない」「生活や育児の煩わしさを石鹼で洗い流したいのか」など、さまざまな意見が出たのです。

 ムービーの演出や表現の当否はさておき、父親は仕事と子どもや家庭のどちらを優先すべきか、と悩めるだけ、実はぜいたくなのかもしれません。もしも妻が病気で急に倒れたら、事故にあったら、育児はすべて夫にかかってきます。今回は、仕事第一で妻に育児を任せていた会社員男性が、妻の病気で突然ワンオペ育児に直面したケースを紹介します。

 東京都内の30代会社員、斉藤健太さん(仮名)は、激務と長時間労働で知られる業界で長く働いています。子育ての大半を専業主婦の妻に任せていました。ところが、第2子を出産した妻が、重い産後うつになってしまいました。妻は起き上がることができず、もちろん育児もままならず、数百キロ離れた県の実家に戻り、しばらく静養することになりました。

 健太さんは悩む暇もなく、突然、0歳の赤ちゃんと2歳の娘を働きながら育てる事態に直面しました。緊急事態というどころではありません。健太さんの親も遠方に住んでいて、手助けを頼めないのですから。

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。