海外特派員リポート

偽ニュースが起こした米国「ピザゲート事件」の“狂気”

清水憲司・毎日新聞経済部記者(前ワシントン特派員)
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「ピザゲート事件」の舞台となったピザ店「コメット・ピンポン」=2017年7月21日、清水憲司撮影
「ピザゲート事件」の舞台となったピザ店「コメット・ピンポン」=2017年7月21日、清水憲司撮影

 昨年の米大統領選をきっかけに爆発的に拡散した「フェイクニュース」が米国社会を揺らしている。昨年12月にはフェイクニュースを信じた男が、ピザ店で発砲する事件まで起こした。逮捕され、有罪判決を受けた男の故郷を訪ねると、犯罪とは縁のなさそうな人物像が浮かび上がってきた。

偽ニュースを信じた男がピザ店で発砲

 米大統領選がトランプ氏の勝利で決着した翌月の昨年12月4日。28歳の男が自宅のある米南部ノースカロライナ州から約500キロ離れた首都ワシントンへと車を走らせていた。「私たちには自分を守れない人々を守る責務がある。いつの日か理解してほしい」。娘2人に宛てたビデオメッセージを撮影した後、男はワシントン市内のピザ店「コメット・ピンポン」に押し入り、ライフル銃を発砲した。

 幸いけが人はなかったが、フェイクニュースの拡散を象徴する「ピザゲート事件」として全米を驚かせた。男…

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清水憲司

毎日新聞経済部記者(前ワシントン特派員)

 1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。