パチスロ機メーカー最大手、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生・前会長=東京・霞が関の司法記者クラブで2017年9月14日
パチスロ機メーカー最大手、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生・前会長=東京・霞が関の司法記者クラブで2017年9月14日

政治・経済パチスロ最大手「大騒動」

「会社を取り戻す!」追放されたパチスロ前会長が“気炎”

編集部

 パチスロ機メーカー最大手、ユニバーサルエンターテインメント(ジャスダック上場)の岡田和生・前会長(74)が、同社により設置された特別調査委員会(委員長、政木道夫・元東京地検検事)の報告書で「22億円の会社資金を不正に流用した」と認定された問題で、岡田氏が14日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した。岡田氏は「私は会社の損失になることは一切していない。不正というのはこじつけだ」と真っ向から否定した。

記者会見に臨む岡田和生氏(右)。左は代理人の中山達樹弁護士=2017年9月14日
記者会見に臨む岡田和生氏(右)。左は代理人の中山達樹弁護士=2017年9月14日

特別調査委報告書をめぐり激突

 この問題のポイントは二つある。一つは特別調査委が認定した不正な資金流用問題。もう一つは、ユニバーサル社が6月末に開いた定時株主総会で、岡田氏を取締役に再任せず、事実上、“追放”したことだ。

 1点目の不正資金流用については、特別調査委が3件の疑惑について調査。いずれも岡田氏が主導し、側近の前取締役らに指示して不正行為を行い、少なくとも22億円の損害を会社に与えたと認定した。流用した資金は、美術品の購入など岡田氏の個人的な使途が目的であり、同氏が独断で行ったことは重大な内部手続き違反だと指摘した。

 岡田氏はこの日の記者会見で、3件の不正とも、自分は詳細を知らず、内容を把握していないと説明。側近の前取締役や、別の会社幹部が行ったことだとして、「報告書には、私が利得を得たように書かれているが、私は一切関与していない」と全面否定した。美術品も、「購入はしているが、会社の金で買ったことはない」と述べた。

 さらに、9月4日に、報告書を公表したユニバーサル社と、富士本淳社長、それに特別調査委(弁護士3人)を相手取って名誉毀損(きそん)で東京地裁に提訴したことを明らかにした。

記者会見に臨む岡田和生氏。手前は代理人の中山達樹弁護士=2017年9月14日
記者会見に臨む岡田和生氏。手前は代理人の中山達樹弁護士=2017年9月14日

 ユニバーサル社は、報告書を踏まえ「岡田氏と前取締役に対するしかるべき措置を検討する」として、法的措置を検討する構えだ。今後、双方の民事、刑事を含めた訴訟合戦に発展する可能性がある。

「同族企業の実権」は長男か岡田氏か

 2点目のユニバーサル社からの“追放”に関しては、岡田氏は「今後、手続きが進めば、自分が社長に復帰する」と述べ、会社の経営権を取り戻す考えを明らかにした。その根拠は次の通りだ。

 この“追放”は、ユニバーサル社の筆頭株主である岡田氏の同族企業で、岡田氏の長男と長女が「クーデター」を起こし、実権を奪ったことで起きた。同族企業の株式は、岡田氏が46%、長男が43%、長女が9%保有する。合わせて過半数の株式を保有する長男と長女が5月、代表取締役の岡田氏を解任した。

 岡田氏は、このクーデターは、ユニバーサル社の現経営陣に長男が取り込まれて起きたと指摘。「長女はよくわからずに兄に従った。その後長女と話をしたところ、『だまされていた』と目を覚ました」と説明。「長女と自分の株を合わせて過半数を取り戻した」として、すでに同族企業の代表取締役に復帰したと主張した。

 長男側の代理人弁護士は「守秘義務があり、話すことはない」として取材を受けていないが、関係者によると、長男側は、「長女の保有株の議決権は自分が持っている」と主張しているという。

 同族企業は香港で設立されており、岡田氏は、同族企業の代表取締役解任は無効だと香港で訴訟を起こしている。訴訟の結果待ちとなりそうだ。

記者会見は約1時間10分にわたって行われた=2017年9月14日
記者会見は約1時間10分にわたって行われた=2017年9月14日

 <次回「「創業者会長を追放」パチスロ取締役会で何が起きたか」>

ユニバーサルエンターテインメント

 岡田氏が1969年にジュークボックスのリース業として創業した。その後、パチンコ・パチスロ機の製造販売に参入し、パチスロ機メーカーでは最大手。フィリピンでカジノ・リゾート事業に参入し、16年12月に一部がオープンした。2017年3月期の連結売上高は1111億円、最終(当期)利益は186億円。

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長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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