思い邪なし

思い邪なし2 誓いの血判状(二)

北康利・作家
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誓いの血判状(二)

 稲盛がこの後、わが国を代表する経営者になることなど、残りの七人はもちろん、本人も想像すらしていない。

 そもそも彼は経営の“素人”だった。だが赤々と胸に燃える情熱だけは、誰にも負けないものを持っていた。

 これまでの稲盛はけっして順調な人生を送ってきたわけではない。いやむしろツキに見放されていたと言ってもいいだろう。

 旧制中学の受験に二度失敗し、大学受験にも失敗。就職する際も希望していた会社に次々と断られ、いっそのことインテリヤクザにでもなってやるかと、自暴自棄になって暴力団の組事務所の前を行ったり来たりしたことさえある。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。