
文書でなにかを伝えようとしたとき、どんなにわかりやく、また丁寧に書いても、言葉遣いに誤りがあったり誤字脱字があったりしたら、その価値はぐっと下がってしまいます。
自分では正しいと思っていたことわざや慣用句の使い方が実は間違っていると、相手に対して失礼になることもあります。また、相手の名前や会社名など重要な固有名詞を間違ってしまうと、単なる不注意ではすまされないかもしれません。言葉は一語であってもコミュニケーションの行方を左右することがあるのです。
私の名前は川井ですが、ときどき「河合様」と書いて送ってくる人がいます。単純な間違いですが、私が返信で「川井」と記名して送っても、もう一度「河合」と書いてきた人も複数いました。名前をしばしば間違えられるのはあまりいい気持ちはしません。
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川井龍介
ジャーナリスト
1980年慶応大学法学部卒。新聞記者などを経てフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター。実用的な文章技術を説いた「伝えるための教科書」(岩波ジュニア新書)をはじめ「大和コロニー~フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)、「フリーランスで生きるということ」(ちくまプリマ―新書)を2015年に出版。このほか「ノーノー・ボーイ」(ジョン・オカダ著、旬報社)の翻訳をてがける。