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俗語から定着してきた「上から目線」という言葉

毎日新聞校閲グループ
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 「目線」という語はもともと、映画・演劇の世界で演技者が目を向ける方向のことを指していました。日本国語大辞典には、この意味とともに、戸板康二さんの著書「楽屋のことば」の一節「役者が演技中に、月を見あげたり、山を眺めたりする時の、目のつけどころを『目線(メセン)』という。視線とはいわない」が引いてあります。そして、その後に別の意味「転じて、一般に視線をいう」も載せています。

 ほぼ同じ意味ですので、毎日新聞では、特段のことがなければ「視線」とすることを原則としてきました。毎日新聞用語集は「通常、一般社会で使わない隠語、品位がなく読者に不快感を与えるような語句は使わない。口語体で一般化している俗語も安易に使うことはしない」としており、2008年ごろから「上から目線」という形で盛んに使われ始めた「目線」は、「俗語」と判断していたからです。

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毎日新聞校閲グループ

毎日新聞は東京に40人余り、大阪に30人余りの校閲記者がいる。原則として広告などを除く全紙面について記事のチェックをしており、いわば新聞の「品質管理部門」。書籍などと比べてかなり短時間で仕事をこなさなければならないのがつらいところ。朝刊の校閲作業は深夜になるため生活は「夜型」である。