思い邪なし

思い邪なし18 祖父七郎と父畩市(四)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

祖父七郎と父畩市(四)

 キミは小柄で華奢(きゃしゃ)だったが、畩市(けさいち)はすらっと背の高い男前だ。キミの父親は畩市を見るなり、

 「この男なら将来ものになる」

 と太鼓判を押したという。

 「美男子のご主人やねえ」

 友達にもそう言われ、キミは少し得意でもあった。

 だがいいことばかりではない。まだ十八歳のキミに、いきなり義理の弟が三人も出来たのだ。

 食べ盛り生意気盛りである彼らの世話をするのは大変な苦労だったはずだ。しかし貧しい家で苦労して育った…

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。