思い邪なし

思い邪なし24 泣くよかひっ飛べ(三)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

泣くよかひっ飛べ(三)

 家の中では、

 「かずおちゃん」

 と呼ばれていたが、しばらくすると「仮分数」というあだ名がついた。

 当時の和夫は畩市(けさいち)に似て、ひょろっとした身体なのに頭が大きい。額が広く顎(あご)にかけてしゅっと細くなっているのも畩市譲りだ。

 算数の授業で仮分数が出てきたとき、分母より分子のほうが大きいのを見た悪童が、

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。