思い邪なし

思い邪なし27 郷中教育(一)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

郷中教育(一)

 弱虫で泣き虫であった稲盛が後年、質実剛健の気風を身につけていったのには、この地独特の「郷中(ごじゅう)教育」で鍛えられた面がある。

 鹿児島に生まれ育ったものなら、多かれ少なかれその影響は受けている郷中教育とは、薩摩藩の城下において藩校とは別に、四、五町四方の「方限(ほうぎり)」ごとに集まって学問や武術の鍛錬をする藩士の子弟教育を指す。

 六歳以上の男子が対象で、元服の前後で「稚児」と「二才(にせ)」に分かれ、二才が稚児を指導する。二才…

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。