社会・カルチャー戦国武将の危機管理

“ドル箱”酒造業を岡山城下に囲った宇喜多秀家の狙い

小和田哲男 / 静岡大学名誉教授

 いまでこそ、宮城・秋田・山形・福島・新潟といった各県に銘酒がそろっているが、戦国時代はそうではなかった。たとえば、下総北部の戦国大名結城政勝が制定した戦国家法「結城氏新法度」には、その第62条に、「酒ハあまの、ほたいセん、江川」とある。天野は河内国の金剛寺付近が産地の酒で、菩提山は大和国の菩提山寺が産地である。江川は伊豆国の韮山の酒で、この三つが戦国時代の代表的な銘酒だった。

 また、慶長3(1598)年3月15日に豊臣秀吉が醍醐の花見を催したとき、用意された酒は、「太閤記」…

この記事は有料記事です。

残り972文字(全文1212文字)

小和田哲男

小和田哲男

静岡大学名誉教授

戦国大名・今川氏のお膝元で、徳川家康の隠居先でもあった静岡市で1944年に生まれる。72年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本中世史。戦国時代史研究の第一人者として知られ、歴史番組でおなじみの顔。趣味は「城めぐり」で、公益財団法人「日本城郭協会」の理事長も務める。主な著書に「戦国の群像」(2009年、学研新書)、「黒田官兵衛 智謀の戦国軍師」(13年、平凡社新書)。公式サイト https://office-owada.com