思い邪なし

思い邪なし30 郷中教育(四)

北康利・作家
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第一章 勝ちに見放されたガキ大将

郷中教育(四)

 稲盛家が「島津屋敷」という、もともと薩摩藩の下級武士の武家屋敷が並んでいた一角にあることについては先述した。印刷屋で成功し、元武家屋敷を買っていた畩市(けさいち)は、言わば成り上がりといってもいい存在だったのだ。

 「大きな声で外で話さないように。そして身分相応なことをしなさい」

 長女の綾子は、畩市からよくそんなことを言われていたという。

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北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。